2009年 11月 21日
タクシーにて |
「これはレモンのにおいですか?」
先日、タクシーの中でロクシタンのハンドクリームを塗って
いたら、運転手さんが声をかけてきました。
年のころは60代。ベテラン風の方です。
「いいえ、夏みかんです」
思わず答えてしまいそうになる質問は、小学校の教科書に
のっていた『白いぼうし』という物語のセリフそのままで、
ちょっと心が和みました。
ちなみにその運転手さんは、“香り”に相当なこだわりを
持っているようで、目的地に着くまでずっと“香り”に
ついて語っていました。
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「高い香水っていうのはねぇ、本当にいい香りがするんです。
40代ぐらいですかねぇ。以前女性のお客さんを乗せた時、
いままでかいだことのないような、なんというかコクがあって
芳醇な香りなんですよ。いや、私は香りにそんなに詳しくない
から表現が難しいんですが・・。お客さんに聞いたら、こんな
小さな瓶なのに数万円とかおっしゃってましたよ。あれは実に
いい香りでした」
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「以前、香りに敏感なお客さんを乗せましてね。『運転手さん、
私の2人前のお客さん、タバコ吸いましたね?』って言うんです。
私ビックリしましてねぇ。ホラ、今みたいタクシーが禁煙に
なる前の話ですから、確かに2人前に乗せたお客さんがタバコを
吸われたんです。直前のお客さんならまだしも、何人前か順番
までわかるなんて、香りの鑑定士っていうんですか?専門の
仕事をされてたんでしょうかね。いやーオドロキましたよ」
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「ところでお客さん、香りを長続きさせるいい方法、なにか
知りませんか?私ね、家でなんて言うんでしたっけ、ホラ、火を
つけて香りを広げる・・・」
こんな年配の方がまさかと思いながら
「アロマオイルですか?」
と答えると、
「そうそう!私も家でやってみているんですが、なかなか香りが
続かなくてね。部屋に香りを続かせるなにかいい方法はないか
探しているんです」
タクシーに同乗していた同僚のYO・GTOさんが
「お香はどうでしょう?」
と言うと、
「あ、それはモチロン焚いてますよ」
だそうで。
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深い・・・東京のタクシー運転手は。
by francesfarmer
| 2009-11-21 20:34
| トーキョー界隈百景